国際会議 ACM SIGSPATIAL 2024 で発表してきました。

代表取締役の庄子と取締役の田村のショートペーパーが、空間情報技術および地理情報システム分野トップの国際会議である「ACM SIGSPATIAL」に採択されました。SIGSPATIAL は、地理情報システム(GIS)や位置情報データの活用方法に関する最新の研究成果を発表し、討論する場であり、学術研究者や業界関係者が集う重要な会議です。都市のインフラや人々の移動パターン、環境への影響など、幅広いテーマが取り扱われており、今回も最新の技術とデータ分析を駆使した研究が発表されました。また、複数都市での「Next Place Prediction(次の行き先予測)」の精度を競う SIGSPATIAL 併設のコンペティション HuMob Challenge2024 において、我々の所属チームが昨年に引き続き見事1位(Geoblue score)に輝きました。


GPSデータを使った生活パターンクラスタリングによる属性把握

論文「Unveiling Human Attributes through Life Pattern Clustering using GPS Data Only」というタイトルで、GPSデータを使って人々の生活パターンをクラスタリングするためのフレームワーク「LPSeL」を提案しました。LPSeL は、GPSデータから都市空間におけるエリアごとの特性を抽出し、それに基づいて人々の行動パターンをモデリングする手法です。この手法によって、緯度・経度・タイムスタンプのみから構成されたGPSデータから、例えば「オフィス勤務者」や「商業エリアの店舗スタッフ」といった職業属性の推定が可能になります.また、休日は「休日はインドア派」や「週末に仕事が多い人」といった、生活スタイル属性の抽出も可能です。本研究は、位置情報の持つ可能性を最大限に引き出し、自治体の政策立案からマーケティング戦略まで、都市の様々な場面での意思決定に役立つものだと考えています。


人の移動パターンに基づくエリア埋め込みの加法的構成性

論文「Additive Compositionality in Urban Area Embeddings Based on Human Mobility Patterns」というタイトルで、エリア埋め込みの算術演算に関する手法を提案しました。エリア埋め込みとは、GPSデータから都市の各エリアの移動傾向(昼に人が集まるオフィスエリア、休日に人が集まるエンタメエリアなど)をベクトル空間にマッピングする手法です。本研究では、このエリアごとのベクトルの足し算や引き算によって、エリアの形状の変換や、エリアの傾向の変化を捉えることを提案しています。特に各エリアの移動傾向の変化を捉えることで、都市政策や店舗の出店の効果の比較や、似た変化が起こった地区を探すことができ、都市計画や出店戦略に役立つものになっています。


複数都市における次の行き先予測手法

Human Mobility Prediction Challenge workshop(人の将来の移動軌跡予測の精度を競うコンペティション)において、論文「HuMob Challenge : Multi-City Next Location Prediction Method using Time-series Stay Frequency Tendency」というタイトルで、庄子・田村が所属する研究室の後輩が発表を行いました。コンペには、世界中から100チーム以上のエントリーがありましたが、昨年に引き続き我々のチームが優勝しました。 来年は、本会議にて行われる GIS CUP にて Humob Challenge が開催されるそうで、そちらにも参加予定です。


参考

SIGSPATILA2024:https://sigspatial2024.sigspatial.org/
庄子の論文:https://doi.org/10.1145/3678717.3691309
田村の論文:https://dl.acm.org/doi/10.1145/3678717.3691279
次の行き先予測手法の論文:https://dl.acm.org/doi/10.1145/3681771.3699909
コンペ情報(HuMob): https://wp.nyu.edu/humobchallenge2024/

JST ACT-X に採択されました。

代表取締役の庄子と取締役の田村が ACT-X という国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が運営する若手研究者を対象とした研究支援プログラムにそれぞれ採択されました。庄子は「次世代AIを築く数理・情報科学の革新」という研究領域、田村は「AI共生社会を拓くサイバーインフラストラクチャ」という研究領域で採択されました。それぞれ、128件中30件の採択、47件中11件の採択、という倍率約4倍の狭き門でしたが、なんとか通すことができました。自身で研究費を獲得するという初めての経験であるため、これから頑張っていきたいと思っています。


<庄子> 研究課題名:時空間データの理解と検索のためのマルチモーダル AI

都市空間における人々の移動データとは、様々な事象が絡み合う複雑なデータであり、分析には専門的知識と豊富な経験が要求されます。 そのため、研究者は目的に合わせたデータのモデル化を行い、クラスタリングや可視化を通してデータの意味を言語化し、社会課題解決に当たります。 しかし、データの意味を解釈できたとしても、そこにモデリング結果とのインターフェースを作ることまではしません。 つまり、これは非研究者がモデルを理解できず、活用できないということを意味します。 結果、人口密度を算出したり、OD分析をしたりと、表面的な分析による限られた問題解決にしか繋がらないという現実があります。 それに対し、近年自然言語を通して誰もが画像や音声などを生成・検索・分類可能な AI が登場しました。 言語を通したデータの利活用というこのパラダイムシフトが、時空間データの研究分野にも、必要だと私は考えています。 そこで本研究では、自然言語を介した移動データ理解のため、移動データと自然言語のマルチモーダルAI(MobAI)を開発します。 MobAIは、分析者の移動データに対する意味理解を支援し、非分析者の移動データ利活用を促進するものです。 これまで障壁だった移動データ分析の難解さと企業間データ共有のプライバシー問題を解決し、都市計画や商業戦略の策定など、様々な分野でのデータ駆動型意思決定を支援することを目指します。


<田村> 研究課題名:共通潜在空間を介したマルチモーダル都市データの統合的な活用

都市における各エリアは、位置している建物や周囲の風景、訪問する人々の移動傾向など多様な特徴を内包しており、出店戦略や都市計画の際にはそのエリアの多様な特徴を考慮する必要があります。 一方、都市ではセンサやモバイル端末を通して様々な種類のデータの蓄積が進んでいます。 しかしこれらのデータは単体で使われることが多く、異なる種類のデータの間にある関係性のモデル化は不足しています。 本研究では、異なる種類のデータを共通の潜在空間にマッピングすることで、データ間の検索や変換を行います。 これによって、多様なデータを通じたエリアの多様な側面の分析を可能にし、出店戦略や都市計画への活用を目指します。


参考

庄子の研究領域:https://www.jst.go.jp/kisoken/act-x/research_area/bunya2023-1.html
田村の研究領域:https://www.jst.go.jp/kisoken/act-x/research_area/bunya2024-2.html
ACT-Xとは:https://blog.phd-engine.net/?p=2358

MBL研究発表会で「都市空間における多様性算出手法」について発表してきました。

第112回MBL研究発表会にて、代表取締役の庄子が「DiverCityMeter: 大規模移動データによる生活パターン分析を通じた都市空間の多様性算出手法」というタイトルで発表を行いました。

また、”優秀論文賞”への内定も頂きました。

論文内容

従来、性別・年代・職業といった住民の属性情報で測られてきた都市の多様性ですが、同じ属性を持つ人々の中でも、生活パターンの観点から見た場合、休日の過ごし方が「インドア派」や「アウトドア派」など、その特徴はさらに分解できるはずです。

つまり、生活パターン多様性を把握することは、マーケティングや都市計画の分野において、重要な役割を果たすと考えられます。

そこで本研究では、スマートフォンから収集されたGPS位置データのみを使用し、都市空間におけるエリアごとの生活パターン多様性を算出するフレームワーク「DiverCityMeter」を提案しました。

DiverCityMeter のポイントは、Point-of-Interest などの情報は一切使わず、人々の生活パターンがどんな特徴を持つか(どんなタイミングでどんなエリアに滞在したか)を説明可能にする「エリアモデリング→行動モデリング→人モデリング」という処理工程にあります。

都市規模の人流分析手法であり、近年スマートフォンの普及により日々大量に収集されているGPS位置データのポテンシャルを最大限引き出すことに挑戦した内容になっています。

わたしのミライKAIZENアワード2023 SDGs部門で優秀賞を受賞しました。

代表取締役 庄子和之が「わたしのミライKAIZENアワード2023 SDGs 部門」に投稿した論文「位置データの持続可能な活用に向けたエリアと移動のモデリング手法」が優秀賞を受賞しました。

論文要旨

スマートフォンをはじめとしたGPS機能を備えたデバイスの普及により、日々大量の位置データが収集されている。しかし、このデータには、緯度・経度といった単純な地理座標しか含まれておらず、人の移動を分析するには力不足であり、結果その保存コストの高さから捨てられる現状にある。そこで、本論文では、位置データのみを用いて人々の移動がどんな移動なのか、その意味を解釈可能にするフレームワーク MMSeL を提案する。本論文では、MMSeL を数万単位のスマートフォンユーザから収集された GPS データセットを用いて評価した。その結果,MMSeL を使うことで「住宅から駅を使いオフィスへ行き,夜はまた住宅に戻る」のように、位置データで表現された各移動にどんな特徴があるか説明できるようになることを証明した。

異業種ペルソナマーケティングAI推進協議会に加入しました

株式会社オルニスは、異業種ペルソナマーケティングAI推進協議会に加入しました。

同協議会は、プライバシーに配慮しつつも、異業種のサービスや企業間をつなぐマーケティングを行うためのAIの開発を目的にしています。企業においてはビジネスの活性化、顧客においては体験価値の拡大を安心安全に実現できる社会を目指します。

オルニスは、研究開発と事業化を見据えた実証実験を通して、貢献していきます。

論文が2022年度 情報処理学会論文賞に選ばれました!

代表取締役の庄子和之が主著の学術論文「大規模ユーザの滞在情報に基づくエリアの特徴付けとCOVID-19による影響分析」が、2022年度の情報処理学会論文賞に選ばれました。

この論文では,位置情報データのみから「使われ方」という観点からエリア毎の特徴付けを行い,エリアの分散表現を作成するための手法を提案しました.

この手法により,多大なコストと時間がかかるアンケート調査により実施されていたエリア利用形態の把握が,位置情報データから行えるようになります.

また,COVID-19の影響により,人々はどのような行動変容を起こしたか,エリアの分散表現を使ったデータ駆動型の分析も行っています.

〜関連サイト〜
  • https://www.ipsj.or.jp/award/ronbun-index.html
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